きみのためのプレゼント
私たちはお互い視線を交わすことなく、星空を眺めながら言葉を交わした。確かに藤本くんの今の言葉はよく分からない。

でも、誰にも話したくないことを聞くほど、私たちはまだ親しくない。


それに、私は今の言葉を聞いて、藤本くんがどうして、毎日ヘラヘラ笑顔を浮かべているのかその方がずっと気になってしまった。


「・・・それは、また今度。ゆっくりと話すよ。さっきの話の続きだけど、原因不明なわけだから、正しい病名もなくてさ。神経の病気って病名わからないもの多いらしいんだ。もちろん、申請すればそれに近しい病名で身体障害者として認めてもらえるんだろうけど」


「・・・認めたくないってこと?」


「原因不明だからね。でも、そろそろ限界かなって思ってる。控除が認められないし、負担かけてるからね。ただ、俺は健常者でもなければ、障害者でもない。今は、どちらでもないんだ」


星空を見ていた自分の視線を藤本くんへと向けた。相変わらず、藤本くんは星空へと目を向けたまま。健常者でなければ、障害者でもない。


彼は今までその葛藤と戦ってきた。なのに辛さも涙も見せない。いや、私の知らないところで弱さを見せているのかもしれない。


でも、普通なら笑うことなんて、出来ない。無理に笑っているようにも見えない。何が楽しいの?


何が、彼を笑顔にさせているのだろう。
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