きみのためのプレゼント
「・・・車椅子の乗り方、教えてくれる?」
「よく出来ました」
本当に、触るなと言っているのに今度は頭を撫でられた。でも、さっきは戸惑ったけれど頭を撫でられるってそんなに悪い気はしない。
むしろ、昔はよくお母さんにせがんだな。
頑張ったから頭を撫でてって。そうしたらお母さん、よく出来ましたってよく頭を撫でてくれた。
陸上を始めたきっかけも小学校のリレーで一位を取って褒められたことだった。
絵の才能もない。音楽に秀でているわけでもない、そんなごく平凡な私が唯一、一番という称号を手にしたもの。
それから、中学に入り、本格的に陸上部に入って練習するうちに、もっと高みを目指したいと頑張ってきた。
ピンと張り詰めた糸は、高校に入学してからも絶えず切れることがなかった。
だからか、その糸は、すり減ってしまって、いとも簡単にプツリと切れてしまった。
「もう一つだけ、俺の話をしてもいい?さっきの答え、実は足の痺れを発症したときの俺の答えとまったく、同じ」
「えっ?動揺しなかったの?」
頭を撫でられて、つい自分の陸上生活を一人で振り返っていると、パーンと風船が割れるように、我に返る藤本くんの言葉。
でも、目の前にもう藤本くんはいなかった。
「よく出来ました」
本当に、触るなと言っているのに今度は頭を撫でられた。でも、さっきは戸惑ったけれど頭を撫でられるってそんなに悪い気はしない。
むしろ、昔はよくお母さんにせがんだな。
頑張ったから頭を撫でてって。そうしたらお母さん、よく出来ましたってよく頭を撫でてくれた。
陸上を始めたきっかけも小学校のリレーで一位を取って褒められたことだった。
絵の才能もない。音楽に秀でているわけでもない、そんなごく平凡な私が唯一、一番という称号を手にしたもの。
それから、中学に入り、本格的に陸上部に入って練習するうちに、もっと高みを目指したいと頑張ってきた。
ピンと張り詰めた糸は、高校に入学してからも絶えず切れることがなかった。
だからか、その糸は、すり減ってしまって、いとも簡単にプツリと切れてしまった。
「もう一つだけ、俺の話をしてもいい?さっきの答え、実は足の痺れを発症したときの俺の答えとまったく、同じ」
「えっ?動揺しなかったの?」
頭を撫でられて、つい自分の陸上生活を一人で振り返っていると、パーンと風船が割れるように、我に返る藤本くんの言葉。
でも、目の前にもう藤本くんはいなかった。