きみのためのプレゼント
「あまり、星なんてみないのかな?最近は結構、綺麗に見えるよ。これからは、そういうのも楽しめるんじゃないかな」

そっか。こうやってゆっくりと、これから時間は流れていくのか。

自分が思っていた以上に急ぎ足だったんだと実感した。

星空も街灯に照らされた道ばたに咲くシロツメクサもちゃんと見たのは本当にいつぶりなんだろう。


「織姫と彦星は会えたのかな」


「会えたんじゃないかな。だって、今日は一年に一度の特別な日なんだからさ」


夜風が心地良い。ここに来る前は、もう何もかもどうでもいいと思っていた。だけど、今は違う。

お母さんたちへの説明とか現実的なことは考えなくてはいけないけれど、それよりも解放感でみち溢れている。



もう明日から伸び悩みに苦しまなくてもいいんだって。藤本くんと入れ替わるという本来の目的とは違う形になってしまったけれど、


もう陸上部のエースだった私はいない。彼の足とこれから頑張っていく新しい私になったのだから。
< 28 / 141 >

この作品をシェア

pagetop