きみのためのプレゼント
「・・・大丈夫?」

土手を過ぎて、少し歩いたところにある私の自宅。茶色の屋根で二階建てのこの家は、私が小学一年生の時に建てられたもの。

いつもは普通に「ただいま」と気軽に入れるこの家に入りにくい。そう思うのは、小学四年生のときに、捨て猫を拾い、連れて帰った以来かもしれない。

そんな思いが彼にも伝わったのか、背中越しに聞こえてきた心配そうな声。大丈夫かと聞かれたら大丈夫じゃない。


心配を掛けるのは目に見えているし、途方にくれるかもしれないお母さんのことを思うと、立ち止まってしまう。


それでも、これは私が自ら選んだこと。



「うん、大丈夫。送ってくれてありがとう」


「俺も一緒に話しさせて。入れ替わりとかそういうのはともかくとしても、どういう生活をすればいいとかのアドバイスは出来ると思うから」


「・・・うん。助かる」


きっと、さっきまでの私ならそんな優しさにも素直に甘えることが出来なくて、反抗していたかもしれない。

どこかで人を見下していた私は誰かに頼ること、甘えることを負けだと思っていた。


でも、今の私は、一人では何もできない。だからと言って、すぐになんでもかんでも頼ったり、甘えたり出来るわけではない。


だけど、藤本くんが言ってくれた言葉は嬉しかったし、心強かった。
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