きみのためのプレゼント
「藤野さん、また明日、迎えに行くから」


結局、肝心な話ははぐらかされ、あの私の発言以降は、なんとなくぎこちないまま。


そうしていると、お母さんがやってきて、会話は終了。藤本くんの家までそのまま送ってもらうことになった。


藤本くんの家は、私の家とは逆側の川を越えた高校の近くだった。

お母さんが挨拶に行くと言ったのを大丈夫だからと制して、彼は窓を開けた私に、去り際にそれだけ言って家の中に入って行った。


お母さんと二人の車内。私は後部座席で外を眺めていた。何を話せばいいんだろう。私はまだこの足のことをよく知らない。


後遺症があるのか、どうすればいいのか、そんなことまったくわからない。でも、お母さんは違う。だからこそ、下手な会話も思いつかなかった。


「・・・沙織、気分は大丈夫?今日は、あの子と一緒だったのね。いつも、七夕は天の川を見に行くものね。とにかく、一人じゃなくて良かったわ」


「えっ?あっ、うん」
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