きみのためのプレゼント
「待ってくれてたの?」


お母さんが連絡してくれていたらしい。家に着いたときにはお父さんが玄関まで迎えに出てきてくれて、慣れたように私を抱き抱え、家の中に運んでくれた。


お父さんに抱っこされるなんて、子供の頃みたいだ。少しだけ体格の大きなお父さんに抱っこされたくてやたらと甘えて抱っこをお願いしてた。

まあ、今はさすがに抱っこというよりは抱き抱えられているけれど。


でも、藤本くんに抱き抱えられたときよりも安心感はある。ただ、無性に恥ずかしくて顔は隠していた。



中に入ると、ダイニングテーブルの上には、私の好きなオムレツが四人分、ラップが掛けられて置いてあった。


もう夜、九時近くだというのに私を待ってくれていたんだ。



バカだな。こういうところは同じなんだから。どれだけ、先に食べていてと言っても必ず、部活を終えて帰ってくる私を、家族みんなで待っていてくれる。弟の充はお腹を空かせてるはずなのに。


お父さんが私をストンと椅子におろしてくれた。充はお腹空いたと言って、私の隣に座る。


お父さんは私の向かい側、お母さんは、お味噌汁やご飯を入れた後、充の向かい側に座った。
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