きみのためのプレゼント
どうせ、私には関係ないと、振り向きもせずに無視をしていると、今度は自分の名前を呼ぶ声がはっきりと耳に入ってきた。
「藤野さん!」
声と共に聞こえてきたのは車輪の音。振り向くとそこにいたのは、苦手な彼。
そう、藤本翔平だった。藤本くんは、車椅子を上手に動かして私に近づいてくる。
いつもなら気にも留めないけれど、今日はちょうど言いたいこともあったので、黙って彼が近づいてくるのをその場で待っていた。
「お疲れ様。いつもこんな時間まで部活?大変だね」
「あの、ここ最近、ずっと見学に来てるよね?すごく迷惑なの」
向かい合わせになって言葉を放つ。本当に迷惑。タイムも伸びないし、集中することも出来ない。
初めて交わした会話に少しだけ真顔になったのも束の間、またヘラヘラと笑い始めた藤本くん。
「ごめん。でも、俺、藤野さんの走る姿好きなんだよね。綺麗だから、見惚れちゃって」
「綺麗?そんなの意味ない。綺麗な走りなんて誰も求めてない。速くなくちゃ意味がないの」
綺麗な走りなんて必要ない。そんなの私をただ苛立たせるだけの言葉にしかならない。
ヘラヘラと笑うその顔も、励まして慰めているかのような言葉にもイライラする。
「藤野さん!」
声と共に聞こえてきたのは車輪の音。振り向くとそこにいたのは、苦手な彼。
そう、藤本翔平だった。藤本くんは、車椅子を上手に動かして私に近づいてくる。
いつもなら気にも留めないけれど、今日はちょうど言いたいこともあったので、黙って彼が近づいてくるのをその場で待っていた。
「お疲れ様。いつもこんな時間まで部活?大変だね」
「あの、ここ最近、ずっと見学に来てるよね?すごく迷惑なの」
向かい合わせになって言葉を放つ。本当に迷惑。タイムも伸びないし、集中することも出来ない。
初めて交わした会話に少しだけ真顔になったのも束の間、またヘラヘラと笑い始めた藤本くん。
「ごめん。でも、俺、藤野さんの走る姿好きなんだよね。綺麗だから、見惚れちゃって」
「綺麗?そんなの意味ない。綺麗な走りなんて誰も求めてない。速くなくちゃ意味がないの」
綺麗な走りなんて必要ない。そんなの私をただ苛立たせるだけの言葉にしかならない。
ヘラヘラと笑うその顔も、励まして慰めているかのような言葉にもイライラする。