きみのためのプレゼント
「おはよう」


お母さんが一緒に寝てくれたからか、足のしびれは気になったけれど、トイレに行きたくなった夜中も連れて行ってもらえて助かった。でも、やっぱり眠ることはできなかった。


朝、五時。お母さんが起きた。私も起きようと思ったけれど、お母さんが言ってくれた。


「眠れなかったんでしょ?まだ、早いし、ゆっくりしてなさい。お母さんが起こしてあげるから」


だからその言葉に甘えさせてもらうことにした。目を瞑ってもやっぱり眠れない。でも、朝が来たということは学校に行かなくてはいけない。藤本くんは、迎えに来ると言っていたけれど、私たち、特別に仲が良かったわけじゃない。


突然、一緒に学校に行けば、悪目立ちしそう。でも、藤本くんしか頼れる人はいない。いっそのこと、しばらく学校を休もうか。溝上先生や陸上部の人たちに会いたくない。


そんなことばかり考える。


でも、時間は待ってはくれない。考え事というのは思いの外、時間が過ぎるのが早い。あっという間にもう、時計の針は六時になろうとしていた。身支度を整えて、朝練に行く時間だ。


「・・・あっ、そっか。朝練、行かなくていいのか」


立ち上がろうとして、ハッとした。どうやら真剣に考え事をしているとしびれのことを忘れてしまう。ということは、そんなにひどいわけでもないのだろうか。この足は。
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