きみのためのプレゼント
「痛い、痛い。足が痛いよ、助けて」


しびれは治らない。それにプラスされた痛み。まるでしびれまでもが痛みに感じられ、激痛が襲う。お母さんやお父さんが駆け寄ってきてくれたので縋るようにお父さんの腕を掴む。


痛い。助けて。


お母さんは私のただならない姿に、薬箱へと走って行った。昨日はいろいろ考えて飲まなかった薬。だけど、薬を飲んでこの激痛から解放されるのなら薬を飲むのも厭わない。


「薬、早く!飲む!」


お母さんが薬箱から、薬を持ってくる。どこかの神経外科クリニックと書かれた袋に入った薬は小さなカプセルだった。これを飲めばこの痛みが治まる。

お母さんが水とそれを手渡してくれて、飲もうとしたとき、インターホンが鳴り響いた。


お母さんがモニターを覗き込んで、確認をしてる。もしかしたら、藤本くんかもしれない。その予想は的中で、お母さんが私に昨日の子が来ているけれどどうする?と問いかけてきた。


「・・・入ってもらって。お願い。彼に、藤本くんに聞きたいことがあるの!」


彼ならこの薬の副作用も知ってる。彼が飲んでもいいといえば、この薬を飲もう。


「沙織。早く飲みなさい。痛いんだろ?ほら、口を開けなさい」


お母さんが玄関に藤本くんを迎えに行ってくれている間にも痛みは激しさを増す。苦痛に耐える姿を見るに見かねたお父さんは、藤本くんを待たずして、私の口の中にカプセルを放り込んだ。


そして、彼に会いたくないのかここで待ってなさいと言って部屋に戻ってしまった。
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