きみのためのプレゼント
「連絡先、教えてくれる?一応これは二人だけにしかわからないことだし、何かあったら守ってくれるんでしょ?」


「あ、ああ、そうだね。交換しておこうか。でも、出来るなら俺からじゃなく、君から連絡してほしいな。それも一つ、君が人に頼る練習だと思ってさ」

「・・・わかった」


ちょっとムッとしたけれど、確かに、私は今まで自分から人に頼ることなんてしなかった。それをいきなりやれと言われても、当然できる気がしない。

でも、これからの私は、それをやっていかなきゃいけない。今は自分で動くことすら出来ない。家の中ですら、お母さんを呼ばなきゃ、トイレにも行けない。

「今までの当たり前が当たり前では、なくなった。それがどんなことかなんて、まだ全然わからないかもしれないけれど、一つだけ言わせてほしい。俺が一番、そのことをわかっているからどんなことでも、俺にぶつけてくれればいい!辛さも苦しみも。それくらい・・・」


突然、言葉を失い、一点を見つめて動かない彼。何か気になるものでもみつけたのだろうか?


肩をトントンと二回叩いてみるとハッとしたような素振りで藤本くんは振り向いた。
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