きみのためのプレゼント
それからすぐに、お母さんに手伝ってもらって制服に着替えた。その間に充とリビングに待機してもらっていた藤本くんが鉢合わせ。やたらと彼氏?彼氏?とからかわれたらしい。


そして、ようやくすべて済ませて、学校に向かうことに。私はまた、藤本くんに車椅子に乗せてもらう。

手慣れた感じの藤本くんにお母さんも充も驚いていたけれど、これなら任せられると安心していた。


いつもと同じ制服なのに、昨日とは違う私の姿。車椅子に乗る自分にはいつになれば慣れるようになるのだろう。

相変わらず足のしびれは落ち着くことはないけれど、激痛はいつの間にか治っていた。


ただ、彼が経験した副作用が、私にもあるのかもしれないと思うと、それがいつなのだろうかという不安には駆られたままだ。


「なんだか、落ち着かないね。車椅子って」


「まあ慣れればそんな風には思わなくなるよ。昨日、入れ替わったばかりだしね。それより、何かあったら必ず連絡して。クラス違うからずっと、側にいることは出来ないからさ」


学校までの道のりを藤本くんが、ゆっくり車椅子を押してくれる。夜は少し涼しかったけれど、今日も快晴。照りつけるような日差しは遮るものもない。


ただ、座っているだけなのに、もう汗をかいてきた。でも、なにもしていない私がこんなに汗をかいているということは、車椅子を押してくれている藤本くんはもっと暑いはず。


軽く後ろを振り返ると、腕で汗を拭いながら、彼は懸命に車椅子を押してくれていた。


「・・・あのさ、汗、すごいけれど大丈夫?少し、休んでくれても構わないけれど」
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