きみのためのプレゼント
押さなくていいからとは言えなくて、休んでくれてもいいというのが今の私の精一杯の労いの言葉。
つたい歩きや自力で車椅子を押すということはきっと出来るんだと思う。彼が出来ていたことだから。
でも、朝の件があったこともあり、少し怖い。だから、彼に甘えることが利口だと思った。
「大丈夫。しんどいけど、嬉しいんだ。まさか車椅子を押す側に回れるなんて思わなかったからさ。藤野さんこそ大丈夫?車椅子乗ってるだけでも暑いから」
「大丈夫。藤本くんが大丈夫なんだから、私が大丈夫じゃないなんて、言いたくないし」
「そっか。気分はどう?動悸や吐き気はない?」
大丈夫。彼の問いかけにはすべてそう答えた。負けず嫌い精神な私。彼が大丈夫だと言えば、何もしていない私は当然、『大丈夫』と答える。
「ここから、落ちたんだよね」
彼が必死で押してくれたから、あっという間に昨日、二人で落ちた浦賀川の土手の階段にたどり着いた。
昨日、私たちはここから落ちて足と境遇が入れ替わったんだ。私の言葉に藤本くんも車椅子を押す手を止めた。
「そうだね。良かったよ。入れ替わることが出来て、本当に良かった」
「ねぇ、どうして入れ替わりなんて提案したの?」
「・・・それが、あの時、藤野さんを救う唯一の方法だと思ったからだよ。俺がどんなに君に声を掛けても聞く耳なんて持たなかった。ううん、俺だけじゃない。あの時の君を救うことが出来たのは、君が本当に願う人の言葉だけだったと思う」
つたい歩きや自力で車椅子を押すということはきっと出来るんだと思う。彼が出来ていたことだから。
でも、朝の件があったこともあり、少し怖い。だから、彼に甘えることが利口だと思った。
「大丈夫。しんどいけど、嬉しいんだ。まさか車椅子を押す側に回れるなんて思わなかったからさ。藤野さんこそ大丈夫?車椅子乗ってるだけでも暑いから」
「大丈夫。藤本くんが大丈夫なんだから、私が大丈夫じゃないなんて、言いたくないし」
「そっか。気分はどう?動悸や吐き気はない?」
大丈夫。彼の問いかけにはすべてそう答えた。負けず嫌い精神な私。彼が大丈夫だと言えば、何もしていない私は当然、『大丈夫』と答える。
「ここから、落ちたんだよね」
彼が必死で押してくれたから、あっという間に昨日、二人で落ちた浦賀川の土手の階段にたどり着いた。
昨日、私たちはここから落ちて足と境遇が入れ替わったんだ。私の言葉に藤本くんも車椅子を押す手を止めた。
「そうだね。良かったよ。入れ替わることが出来て、本当に良かった」
「ねぇ、どうして入れ替わりなんて提案したの?」
「・・・それが、あの時、藤野さんを救う唯一の方法だと思ったからだよ。俺がどんなに君に声を掛けても聞く耳なんて持たなかった。ううん、俺だけじゃない。あの時の君を救うことが出来たのは、君が本当に願う人の言葉だけだったと思う」