きみのためのプレゼント
藤本くんの言葉が、あまりにも当たりすぎていて驚いた。確かに、自暴自棄になっていた。伸びないタイム。うまくいかない日々。


家族には恵まれていたけれど、それだけじゃ満たされなくて。気がつくと溝上先生に期待していた。溝上先生のくれる言葉がお守りであって、支えだったから。


だからこそ、昨日の溝上先生の言葉は私に『死』を連想させるとどめの一言だった。


藤本くんとの約束がなければ、その道に走るほどのダメージの強いもの。それくらい、支えてもらっていると思っていた人の言葉の刃は、強力なものだった。


「・・・ねえ、どうしてそこまで私の気持ちが分かるの?もしかして、藤本くんも・・・」


「あっ、ヤバイ。遅刻するかもしれないから少しだけ飛ばすよ、藤野さんしっかり座っててね」


その先を聞こうとしたのに、遮られた。藤本くんももしかして死にたいと思ったことがあるの?それを聞かなくて良かった。


なぜなら、彼の境遇は決して恵まれたものではないことを、私はこれから、身をもって知ることになるのだから。
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