きみのためのプレゼント
緊張する。でも、自分で決めたことだから。三時間目の休み時間。もうすぐ岡部さんが来る時間。私は先生に背中を押されたこともあり、岡部さんに会うことを決めた。


でも、実は彼女が腹黒で、藤本くんにいい人だと思われたいから、私を気にかけていたなどと一番言われたくないセリフを想像してしまい、気分は吐きそうだ。


他人に期待しないなんて嘘だ。期待するから、裏切られることが怖いから期待をしてはいけないと自分に言い聞かせていただけ。


溝上先生に期待をしていた私は、その期待を裏切られて、自分の命を投げ捨ててもいいという思いに駆られた人間だ。


期待なんて、したくないのに。


「失礼します!」


保健室のドアが開き、岡部さんの声が響き渡る。いつもならベッドで寝たフリをしているけれど、今日は違う。車椅子に乗った私は岡部さんと対話する。


「岡部さん、藤野さんがあなたと話したいみたいなんだけど大丈夫かしら?」


「えっ?ほ、本当ですか?」


戸惑うというよりは、嬉しそうな彼女の声をカーテン越しに聞いて、少しだけ安堵した。そして、先生がカーテンを開け、私の車椅子を押して彼女の元へと連れて行ってくれた。


そっと、「がんばれ」と言って。
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