きみのためのプレゼント
「・・・だ、大丈夫?足、悪化したって先生に聞いたけど」


最初に口を開いたのは岡部さんだった。松岡先生は職員室に用事があると出て行ってしまい、今私たちは二人きり。

松岡先生が、車椅子を彼女が座る椅子の前に止めたから向かい合わせになっている。


でも、いざ、気持ちは決めたものの何から口にしていいのか分からなくて、ただ私は彼女の問いかけに頷くことしかできなかった。


「何か、私に、できることがあるなら何でも言ってね」


「ど、どうして、そんなに私に親切にしてくれるの?」


聞いた。覚悟を決めて、その言葉を口にした。怖い。怖いけれど、どうしても知りたい。彼女の言葉を恐る恐る待つ。


早く、言ってよ。この沈黙が耐えがたい。


「私、藤野さんと友達になりたいって思ってる。藤野さん、私のこと苦手だよね?だけど、私は、藤野さんのこと好きなんだ」


「な、なんで?私、あなたに好かれるようなこと何もしてないし、むしろ・・・」


「・・・嫌いだよね?でも、覚えてるかな?藤野さん、私がお腹痛くても、友達に言えなくて我慢してたとき、気づいてくれた。みんな、近くにいたのに、気づいてくれたのは藤野さんだけだった。車椅子で私のところまで来てくれて、友達に「辛そうだから保健室に連れてってあげて」と言ってくれたこと、私本当に嬉しかった」
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