きみのためのプレゼント

彼女が肩までの髪を揺らしながら、笑顔で話す。そう言われてみれば、一度そんなことがあったような気がする。もちろん、車椅子になんて乗ってはいなかったけれど。わたしの境遇が、わたしのものもあるんだ。


「・・・普通、友達なら気づくはずなのに、誰も気づかなかったから声を掛けただけ。ただ、それだけ」


「それでも、私にとったら嬉しかった。部活の友達はみんなクラスが離れてしまって、それでも友達がいないのは怖いと思って、今のグループの子たちと仲良くなったけれど、話もついていけなくて、合わせるのも窮屈で、当然、自分の意見なんて言えなかった」


ああ、この子は以前の私だったのか。いつも笑っていると思っていたけれど、本当は無理やり自分を偽っていた。辛かったんだろう。


わかってくれる人がいなくて。それでも、嫌われたくなくて、笑顔を貼り付けていた。


「だから、私と友達になりたい？私なら窮屈じゃない付き合いができると思った？」


「そうじゃないの。でも、憧れていたことは事実。クラスで一人でいても凛とした姿勢で媚びることもない。そんな藤野さんの友達になりたい。困っているなら助けたい。藤野さんとなら、本当の友達になれるんじゃないかって」


「・・・それはあなたの推測でしょ？私はもう、一人で平気じゃない。凛としてるわけでもない。こうやってここに逃げてるじゃない？それに憧れ？おかしいでしょ。あなたのほうが、タイムだって、部活だって、先生だって！」