きみのためのプレゼント
「あのね、私は一つ上の三浦先輩が好きなんだ」


可愛らしく距離を近づけてコソッと私に、ハルが耳打ちした。三浦先輩?ああ、あのヒョロっとした背の高い少しクールな先輩か。


ハルの好きな人だから、とやかく口を出すつもりはないけれど、ハルにはもっと相応しい人がいるような。別に三浦先輩が悪いわけでもないけれど、愛らしいハルに無愛想なあの人は合わない気がする。


「さあちゃん、聞いてる?」


「あっ、ごめん、ごめん。聞いてる。三浦先輩でしょ?」


「でね、私、今度陸上競技大会に出るんだけどそこで記録を残して、先輩に告白しようって考えてるの。それで、ずっと悩んでたんだけど、私、さあちゃんに陸上競技大会に来てほしいの」


ハルのお願いをすぐに快諾できなかった。少し考えさせて。そう、言って言葉を濁した。ハルのことは本当に大切で、高校に入って初めて出来た友達。

私みたいな捻くれ者に真っ直ぐにぶつかってきてくれ、優しくいつも笑顔でいてくれるハルは本当に陽だまりみたいだ。

部活しか学校に来る意味がなかった私が、他愛ない話をしたり、笑ったりできているのはハルのおかげ。

そんな私に少しずつ、周囲のクラスメイトも話しかけてくれるようになった。今まででは考えられないくらい、学校生活が充実している。

私が少しずつ変化を見せられるようになったのは、もちろん藤本くんの入れ替わりのおかげだけれどハルのおかげでもある。

だから、ハルの望みは叶えてあげたい。
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