きみのためのプレゼント
「なんでわかんないんだよ?わかるだろ?分かれよ!今の話が俺の体験談だってなんでわかんねえんだよ!」
苛立つように声を上げ、机をバンと叩きつける藤本くん。体験談?今のが体験談ということは、彼はもしかして、友達を亡くしているとか。
「・・・ごめん。ちょっと頭に血がのぼっちゃった。怖がらせてごめん」
そう言いながら、そっと私の頬に触れる彼の右手は少しだけ震えていた。そういえば、お母さんが七夕の日、何か言っていたような気がする。ううん、それだけじゃない。
藤本くんも七夕は大切な人の誕生日だって言ってた。もしかして、その人が藤本くんが亡くした人?
「ねえ、そろそろ聞いてもいいかな?藤本くんの笑顔の理由。それと、大切な人のこと」
帰り道、私たちはどちらも口を開かなかった。こんな風な帰り道は初めてだ。藤本くんと足が入れ替わってから、彼は毎日、私を送り迎えしてくれた。
行きは、「おはよう」帰りは、「また明日ね」その二言の間にたくさんの会話を提供してくれた。朝はテレビの話題や前日の晩御飯の話。
帰りは、クラスでの出来事が主。何かしら必ず会話をするのに、今日は一言も話さない。
ただ、さっき彼は私に約束してくれた。ゆっくりと時間を掛けて話したい。それと、話すまでに少しだけ時間がほしいと。
「藤野さんと花火大会に行きたい。その日にきちんと話すから、それまで時間もらってもいい?」
花火大会と言われたときに、ハルにからかわれたことをふと思い出したけれど、彼の真剣で、今にも目に浮かぶ涙に、大きく頷くことしかできなかった。
苛立つように声を上げ、机をバンと叩きつける藤本くん。体験談?今のが体験談ということは、彼はもしかして、友達を亡くしているとか。
「・・・ごめん。ちょっと頭に血がのぼっちゃった。怖がらせてごめん」
そう言いながら、そっと私の頬に触れる彼の右手は少しだけ震えていた。そういえば、お母さんが七夕の日、何か言っていたような気がする。ううん、それだけじゃない。
藤本くんも七夕は大切な人の誕生日だって言ってた。もしかして、その人が藤本くんが亡くした人?
「ねえ、そろそろ聞いてもいいかな?藤本くんの笑顔の理由。それと、大切な人のこと」
帰り道、私たちはどちらも口を開かなかった。こんな風な帰り道は初めてだ。藤本くんと足が入れ替わってから、彼は毎日、私を送り迎えしてくれた。
行きは、「おはよう」帰りは、「また明日ね」その二言の間にたくさんの会話を提供してくれた。朝はテレビの話題や前日の晩御飯の話。
帰りは、クラスでの出来事が主。何かしら必ず会話をするのに、今日は一言も話さない。
ただ、さっき彼は私に約束してくれた。ゆっくりと時間を掛けて話したい。それと、話すまでに少しだけ時間がほしいと。
「藤野さんと花火大会に行きたい。その日にきちんと話すから、それまで時間もらってもいい?」
花火大会と言われたときに、ハルにからかわれたことをふと思い出したけれど、彼の真剣で、今にも目に浮かぶ涙に、大きく頷くことしかできなかった。