Short
「でも、わたしのせいでリレー負けちゃったし…」
「気にしないで。他のやつらも遅かったもん。来年また、リベンジしよう?」
そう言って吉澤くんはわたしの頭をぽんぽんと撫でた。
わたしはその瞬間ぽわぁっと心が温かくなった。
その日以来わたしと吉澤くんはとても仲良くなった。
「のぼる!帰るよー!」
「麻里、待って!早いってば!」
毎日一緒に帰るわたしたち。方向は逆だったけど、わたしがいつも遠回りをして帰っていた。
「麻里、遠回りだから、まっすぐ帰ればいいのに」
「うるさいなあ。のぼるといると楽しいんだもん!」
そう言ってわたしはのぼるの顔を見る。のぼるは照れたのかそっぽを向いてしまった。