Short




わたしは記憶を呼び戻したが、しっかりある記憶はここまでだった。


「そこからは、なんにも憶えてないや」

「俺、麻里が落ちた次の日、学校で麻里がいなくてびっくりしたんだ。そしたら先生が入院してますって言ったから、慌てて教室飛び出して病院向かったよ」

「そうだったんだ…」

「でも、病室には入っちゃいけなくて、麻里のお母さんから麻里の記憶が一部ないことを聞いて。色々ショックだった俺は最後麻里に会えないまま転校して…」

「ごめんね、俺が先に帰らなきゃ…」

「謝らないでよ!一緒に帰らなかったわたしがいけないし、勝手に落ちたのはわたしだし…」

「それに、今こうして、また会えてる。思い出たくさんの場所で会えてる。それが1番嬉しいよ」


そう、わたしたちはこうしてまた会えてる。目の前で、わたしの大好きな人が立っている。今この事実がどれほど嬉しいか。




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