Short



「理緒、授業中に他クラスに侵入したら、だめだよ…」


昼休み、屋上でお弁当を食べるわたしたち。


「いやー、俺も寝てたんだけどさ、なんかなんとなくまことが俺を呼んだ気がして…」


そんなわけなかったか!なんて言いながらお弁当を食べる理緒。


「……だよ」

「え?なに?」

「……り、理緒の名前、よん…だ。でも、でも、ほんとに小さい声で、だから聞こえるわけなくて…」


わたしの顔が熱くなる。恥ずかしい。自分から言っといてすごく恥ずかしい。

恥ずかしさから下を向いていると理緒の手がわたしの頭の上にぽんっと置かれた。


「ほらな!俺、まことの声なら聞き逃さないよ!どこにいても聞こえる!!」

「まこと、いつでも呼べよ。俺はいつまでもまことのそばにいるから!」


そう言って笑う理緒。

ああ、理緒がいないとほんとにだめだなわたし。

わたしと一緒にいてくれる理緒。
理緒、わたしが、迷惑じゃないですか?



< 33 / 38 >

この作品をシェア

pagetop