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閉めようと思い近づくと物音がしたためわたしはびっくりして叫ぶ。


「ひゃあっ!」

「うわ!って、桜井さん」

「吉澤くん!」


驚いた顔をする吉澤くん。同じくらい驚いた顔をしてるであろうわたし。


「びっくりした…。こんなところでなにしてるの?」

「あ、えっと、本読んでた…」

「こんな寒いところで?」

「うん。昔から外が好きで」

「にしても、寒すぎない?」

「まあね〜」


そう言いながら笑ってベランダに座り込む吉澤くん。外は曇り空。冷たい風は相変わらず吹いている。

どうしようもない欲がわたしをかきたてる。その欲に負けてしまいわたしは吉澤くんの隣に座った。


「桜井さん?」

「…わたしも、少しだけいていい?」

「……うん」


寒空の下ベランダに座り込む私たち。
どうしようもない欲。吉澤くんの隣にいたい欲。

実は少し前から抱いていた。たぶん、初めて見た時からかもしれない。

なぜか分からないけど、会った時から吉澤くんを見てると安心する。

隣にいたい。そう思うようになっていた。


「麻里はさ、」

「ん?」


突然口を開く吉澤くん。


「思い出、大事にしてる?」




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