恋を、した。
遠くで微かに響いていた雷の音が、どんどんと近付いてくる。


ど、ど、ど、どうしよう……。

このままじゃ家に着くまでに雨が降り出しちゃう。


ゴロゴロと唸るような低音が響き始めると、薄暗い雲の間で雷光が輝き始めた。


「……!!」


空を見上げた私の頬に、ぽつり、と雨を感じた瞬間。


「きゃあっ!!」


大きな雨粒が私に向って落ちてきた。

ポツポツポツと降り始めた雨は、一瞬でバケツをひっくり返したようなどしゃ降りに変わる。


「…ひゃ、…っ」


声にもならない悲鳴を上げて。


と、とにかく、屋根のある場所。

――― そうだ、八幡さまにっ!!


弾かれたように踵を返し、八幡さまへと向かって駆け出した。

階段を駆け上がり、鳥居をくぐると一目散に参道を駆け抜ける。山門に辿り着いた時にはもう、息が上がっていた。


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