俺様上司に、跪いて愛を乞え
「水族館?」と、部長が訝しげに聞き返してくる。

「はい…あそこに、あるから…」

道の先を指差すと、

「ああ…」

とだけうなづいて、車を回した。

水族館の中に入り、水槽を泳ぐ魚を眺めた。その私の傍らで、「魚なんて、見ておもしろいのか?」と、新藤部長は眉間にしわを寄せていた。

「……つまらないですか? 部長は…」

「おまえが楽しんでるなら、かまわないが、な…」

どう見ても楽しそうには見えない顔つきに、つい早めに館内を回った。
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