俺様上司に、跪いて愛を乞え
「はい…」と、応える。

「でも、今日は、会社は休みだったんじゃ…?」

「ああ、休日出勤をしてた奴が、取引先とちょっとトラブったらしくてな…俺も行かないと、マズい」

部長の顔が、いつの間にか仕事の顔になっている。

「俺は、家で着替えたらすぐに出るが、おまえはどうする?」

「待ってます…」

「待ってって、俺の家でか? いつ帰れるのか、わからないんだぞ」

「いいです…それでも。待っていたいんで…」

ちょっと寂しい気持ちにもなって、海ガメのぬいぐるみに顔をうずめた。

「そうか…だったら、そいつと待ってろ。終わったら、すぐ帰るから」

と、部長がぬいぐるみの頭を軽く叩いた。
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