俺様上司に、跪いて愛を乞え
「はぁ…はぁ…」という自分の息づかいが、「はっ…はっ…」という、次第に短いものに変わっていく。

どうしよう……と思った。ただ苦しくて、自分の身体すらどうすることもできないのが、やるせなかった。

額に手をあててみると、思ったより熱が高いのがわかった。

一瞬、部長に電話をとも考えて、そんなことをして仕事にもし差し支えたらと、考え直した。

もう、自分のために、仕事をしている部長を邪魔したりなんかは、したくなかった。

「だけど……そばに、いてほしい…」

ベッドの傍らには、ぬいぐるみがあって、腕に抱きかかえると、

「……そばに、いてくれないと…寂しい……」

ぬいぐるみから、ほんの微かに部長の付けているコロンの香りがした。

「……本当は、ずっとそばにいて……甘えたいのに……」

熱のせいなのか、涙がいったん滲むと、止まらなくなって、

「はぁ…、はっ…はっ…」と、どれだけの間、息をついていたのか、


……やがて、部長が帰ってきた気配がした。

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