俺様上司に、跪いて愛を乞え
退社時間が過ぎてーー会社からそう遠くないイタリアンバーで、思い思いがお酒を飲んだり、料理をつまんだりしていた。

「ねぇねぇ…まゆ、部長ってさ、お酒飲んでもちっとも変わらないと思わない?」

恵利が部長の方をちらちら見ながら言う。

「うん…相変わらずな感じっていうか…」

店のイスにどっかりと足を組んで座り、他の社員たちからひっきりなしにワインを注がれてる新藤部長の姿は、まるでどこかの国の王様のようだった。

「王様みたいだよね…なんだか」

つい口からこぼれた言葉に、

「そうそう、それそれ!」

と、恵利が大笑いをする。

「…笑う。俺様な王様! 部長の前世って、マジで王様だったんじゃないの?」

「恵利ー笑いすぎだって!」

だってさぁ~と、いつまでも笑いが止まんない恵利は、そう言えばお酒が入ると笑い上戸になるんだっけ…と、思い出した。
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