俺様上司に、跪いて愛を乞え
「…ねぇ、恵利…?」

話しかけようとして振り向いたら、そこに既に恵利の姿はなかった。

「あ…れ、恵利は?」

呟くと、いつの間にか隣にいた同期の男性社員が、

「彼女なら、もう帰ったよ。終電がなくなるからとか言って」

と、話した。

「えっ? 終電?」と、腕時計を確かめれば、とっくに最寄り駅への終電時刻は過ぎていた。

気づけば、飲んでいる人はだいぶ減っていて、女性で残っているのは、自分くらいにもなっていた。

知らず知らずのうちに飲みすぎた私は、意識がちょっと飛んでいた間に、完ペキに帰る時間を逃したらしかった。
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