俺様上司に、跪いて愛を乞え
「意外と、こないだ泊まったのも、槙野さんちだったのかもね…」

「そう…だね」と、だけ応える。

否定する気すら起こらなくて、半ば投げやりな気持ちにもなる。

「まゆ…? ショック大きかった…?」

聞いてくる恵利に、首を横に振る。

「……部長のことは、もういいかなって…そろそろ」

言うと、

「そうだよ~まゆ! あんな冷徹男のことなんか、とっとと忘れて、他の人好きになった方が、絶対いいって!」

と、恵利が拳を握りしめて見せた。

その力の入りっぷりに、思わず笑ってしまう。

「でもよかったーホント、まゆが笑ってくれて…」

恵利が言う。

「最近、元気あんまりなさそうだったしさー…」

「うん……」と、小さくうなづいて、「ありがとう…ごめんね、恵利」と、笑って見せた。
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