俺様上司に、跪いて愛を乞え
恵利にはあんな風に言ったものの、気持ちの整理はなかなかつかなかった。

ずっと好きだったこともあって、嫌いになってしまおうともすると、胸がキリキリと痛んだ。

あれから、何度か新藤部長と槙野さんが一緒にいるのを見かけた。

人目を気にする風でもなく、部長の近くにはいつも槙野さんがいて、社内でも2人の間柄は半ば公然にもなりつつあった。

私は、苦い思いを押し殺して、自分の気持ちになんとかけりを付けようとしながら、仕事に打ち込んだ。


ーーその日は、会社終わりに外へ出ると、小雨が降り出していた。


駅までの道のりに、ちょっと小走りになる私の前に、見慣れた背中が目に入った。
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