俺様上司に、跪いて愛を乞え
ーー思わず顔を上げると、部長が立ち止まっていて、私は近くのビルの陰にとっさに身を隠した。

「……おまえに、用なんてないんだよ。そうやって勝手に付いてこないで、もらえるか?」

部長の言葉に、勝手に…?と、思う。

「いいじゃないですか、新藤部長。今日は、私とこれから……」

誘いかける槙野さんの声に、

「用はないと、言ったはずだ。俺は、おまえに付き合うつもりはない」

部長の低い声音が響く。

「そんなこと言わないで、だって私たち、もう噂にもなってるじゃないですか…」

「噂など……おまえ自身が、どうせ流したんだろうが」
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