俺様上司に、跪いて愛を乞え
「そんな言い方って……!」

感情的になる彼女に、

「この俺に、取り入ろうとするとか、迷惑なんだよ。こんな真似は、二度とやめてもらおうか…」

部長が歩き去っていくらしい靴音が聞こえた。

「ひどい…! なんなのよ! この私を無視するとか……!」

ヒステリックに叫ぶような声がする中で、私は、ひそかに胸を撫で下ろした。

部長は、彼女のことを好きなわけじゃなかったんだ……でも、と、一方で思った。

だからと言って、部長が自分を好きになってくれるわけでもなく、あの槙野さんでも振られたのでは、少しのチャンスすらももうないような気がした。
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