ピアスの秘密
せっかく今日、付けて見せようと思ったのに…
穴を空けていない…

ネックレスは毎日かかさずつけていたが、このイヤリング、ちがうこのピアスは約2週間こっそりしまったままだった。

ちひろはどうしたら一番いいのか、外を眺め考えた。
自宅から東京駅へは30分くらいで着く、領はちひろと2人で何処に行けばいいか悩んだ。

自宅のマンションには違う階にメンバーが住んでいる。事務所に管理されているし、町を歩けばちひろさんが気にするだろう…

領はふと思いつき、電話をかけた。

「はぃ…」

「遠藤さん?青木です。青木領です。」

遠藤は東京駅近くで小さなバーをやっていた。

マスターは昔、脚本家志望だったらしい。

初めては共演者に連れてこられた。
大人ぶって飲んでるうち、酔っ払ってしまい、マスターにひどく叱られた。

それ以来、よく一人で来る。領にとって兄のような存在だった。

「どうしたんだ?」

「今から店で人と会いたいんだ。だめかな?」

「べつにいいよ…いつもの場所に鍵があるから。お前も大変だなぁ。」

「ありがとう」

「女か?」

「う、うん…」

「6時に出勤するからなっ。よろしく」

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