ピアスの秘密
「こちらこそ、ありがとうございました。失礼します。」切れてしまう…終わった。
信じられなかった。3分くらいだったと思う。
後から後から、ああ話せばよかった、こう話せばよかったと後悔もした。

それよりも、にやけた顔は戻らなかった。

本当はすぐに里香に電話したかったけど、仕事と家事をこなす里香には遅すぎる時間だった。
それに日曜の話もまだしていないから、休みの日にゆっくり聞いてもらうことにしよう。


テレビの中で領君が歌っている、今私はこの人と喋ったっんだ。最高にいい気分。
このきれいな歌声とちがい、不器用にゆっくり話す話し声も、かわいかった。

ちょっぴり特別な人になった気分の私は、何度も、何度も
「これは夢みたいだけど、夢じゃないよね。」と自分に言い聞かせ、そのままリビングで寝てしまった。
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