ピアスの秘密
私は泣きながら続けた。
「ただ会って1時間半ほど話をしたけど、緊張しててあんまり覚えてなくて…あたりまえだけど、あれから連絡ないし、バカみたいに毎日毎日領くんが頭からはなれなくて…」私はたくさん泣いた。

里香は始めビックリしていたけど、
「すごいね。そんなことがあったんだ。」と優しく言ってくれた。

その後は、何も訪ねてこなかった。

「ごめんね。どうしていいかわからなくて…」と私は、顔を上げて里香を見た。
「たぶん、私がちひろだったら、同じようになってたと思うわ。今、話したら辛いんだね。もう少し時間がたったら、落ち着くよ。きっと…」と里香は言った。

その後、里香が私に気を使ってくれて、Fの話題をほとんど口にしなかった。

私もすぐに泣き止んだ。

あっという間に2時間が過ぎ、子供の下校時間になった。私たちは席を立った。
「元気だしや!楽しく話せるようになるまで待ってるね。それにいつでも力になるから。」

「里香、ごめんね、ありがとう。」と言って私たちは別れた。

私は里香の前で初めて泣いた。少しだけ、心が軽くなった。

帰り道、空を見上げたら、やっぱり彼を考えてしまった。
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