ピアスの秘密
幕があけて、すぐに泣き出した自分がはずかしった。

涙を拭くと泣いているのが人にバレると思ったから、そのまま拭かずに涙が流れるままにした。

隣の女の子に変な人と思われたに違いない。
知らない振りをしてほしいと願った。

その後、舞台の中ではだんだんと話が複雑になっていき、私の涙も止まり力強く演じている彼と、そのストーリーに夢中になっていった。

あっというまに一部が終わり15分の休憩になった。

やっぱり隣の女の子がすぐに私に
「始まってすぐに泣いてたからびっくりしました。すごくファンなんですね。」と話しかけてきた。

「こんなに近くで見るの初めてで…」と適当に答えた。好きすぎて涙が出たとは、言える訳がない。

「どれくらい好きなんですか？」と真剣な眼差しで質問された。

ファンの期間なのか、好きの量、いったい何を質問しているのかわからなかったし、それを知ったからどうなの？って思った。

「どれくらいかはわからないけど、トップスターになってもらいたいと思ってる。」と言った。

すると女の子は
「私は領くんの彼女になりたいんです。」と言った。私はどうどうと言える若さを羨ましくも感じた。
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表紙・目次

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