ピアスの秘密
少し考えてから、領は
「ちひろさんてどんな人か教えてください。」とかわいい顔をして聞いてきた。
目が細くなりとてもやさしい顔をする。大好きな顔だ。

「私ですか?」

「うん」大きく頷いた。

「マイペースで自分勝手、負けず嫌い、頑固で大雑把…」

「最悪な人ですね。いいところは?」

「元気なところ。」2人で笑った。素敵な空気だった。

「じゃあ、領君は?」

「勇気がなくて、行儀と寝相が悪くて、計画性がなくて、協調性にかけてて…」
「最悪ですね。いいところは?」

「ないなぁ。」

「いっぱいあるよ。」

「じゃあ、どこ?」

「いろいろ…」言いたくても言えない。
本当は、綺麗な顔、声、ちょっと恥ずかしがりやなところ、たくさん言ってみたかった。

「そんな困った顔しないでください。」

「してないですよ。」今の私は誰が見ても、幸せな顔をしているはずだ。

ふと時計をみたら11時前だった。

「ごめんなさい、帰る時間なんです。」

「駅まで送りますよ。」

「いいです。いいです。」
「今夜は送ります。」と彼は言ってくれた。

公園の中を歩き、改札口まで来てくれた。
最後に彼の目を見た。
< 56 / 109 >

この作品をシェア

pagetop