腹黒エリートが甘くてズルいんです
子供達は寝ていて居ないとはいえ、園庭の感じや、廊下に貼られていた子供の作品、先生達が頑張って作ったのであろう季節感のある壁面製作を見ていたら、実習で行った保育園を思い出し、ぽろりと言ってしまったのだ。


一度は同じ道を目指して学んでいたはずの人が今こうして違う職についているという事実は、特に引かれることもなくすんなりと受け入れられ、楽しいトークが続いていた。


「えーと、じゃあ、また何かあったら出光君の方に連絡すればいいかな?」


優しく微笑む、さっきの知子先生よりも歳のいった感じの先生。


「はい、出光が都合つかなければ、あたしが喜んで伺いますので!」


半分……いや、8割ほど本気のあたしの発言に、楽しそうに皆が笑う。


あたしの職場も随分アットホームな雰囲気だと思っていたけど、ここも楽しそうだなぁ、なんて。

いただいた麦茶を飲み干して、さてそれじゃあと椅子から立ち上がったとき、不意に事務室のドアが開く音。
休憩の交代時間かな?と、何となく視線を送る。
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