腹黒エリートが甘くてズルいんです
なんだなんだと思いながら、つられてあたしと由依もジョッキを持つ。


「名案を思い付いた天才出光さんに、はい、かんぱーーーーいっ!」


カチン、と重いガラスのぶつかり合う音に気をとられ、今とんでもないことを言われたような気がして聞き返す。


「今、なんて??」


先輩がごくごくとジョッキを傾けてから、ニヤリと笑う。


「俺、超名案思い付いた。スゲーよ、俺のこと出光様って呼びたくなると思うぞ」


先輩の発言に由依が鼻で笑う。


「おいこら。いいからまぁ聞けって」


あたしと由依が先輩の声を聞いている姿を確認してから、話し出す。



「莉緒っち、来年度から営業に来い!!」


……はい?
思わず由依と顔を見合わせる。


だって、うちの会社の営業は殆ど男の人が所属している。明確な決まりは無いけれど、総務部に女性が多くて、営業部はほぼほぼ男子。

コピー機や印刷機の機械を、必要に応じてその場で直したりするから、必然的に男の仕事って感じになっているような。
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