腹黒エリートが甘くてズルいんです
「……最後に、俺にも教えて」


どうやら、酒井君の暴露……というか、『騙しててごめんね報告』は終わるらしい。


こんな気分のまま、『4月から異動願いを出して、営業がんばってみるよ!』なんて、とてもじゃないけど報告できない。

いいや、また今度で。

色々な思いを巡らせながら返事をする。


「なに?」


「仲田、俺に前聞いてきたじゃん? 同じこと聞くわ。お前、今幸せ?」


しん、と車内に静寂が拡がる。
茶化すわけでもなく、あたしの返事を待つ空気。
それならば、きちんと答えよう。
すぅ、と息を吸い込む。


「凄く、幸せ。酒井君にもう一度会えたことも含めて。4月からの新生活に不安もあるけど、決めたからにはやってみようと思う。結婚だけが人生じゃないと思う、なんて、あたしが言っても説得力ないけど……」


話ながら、ドキドキする。め、滅茶苦茶こっち見てない? なんで? あたしの顔、こんな大事なときにもしかして青のりとか付いてる系? 有り得る、あたしなら大いに有り得る……。
< 138 / 227 >

この作品をシェア

pagetop