腹黒エリートが甘くてズルいんです
そんな、考えても仕方のない答えの出ないことをぐるぐると考え続ける。
そんな心と比例するように身体に力が入らないのだから、もう一体どうすればいいんだろう。


「……由依」


「うん?」


どこから出してきたのか、『今受付チームで流行っている』という、ドライフルーツ入りの一口サイズのチョコレートを食べつつ、雑誌を見ていた由依が顔を上げる。


「食べる? お勧めはねー、ラズベリーなんだけど、どれも同じようで分かんないのよね、ナッツに当たるとがっかり。いや、ナッツがまずいとかじゃなくて、ドライフルーツのねっちょり感を期待して噛むとがっかりするっていうか……」


珍しく、しょうもないことをつらつらと喋っている。
それもこれも、あたしへの気遣いだと思うと、涙が出るほどいとおしい。


「由依、ありがと。週末、買い物に行こう。あたし、新しいバック見たいし、なんだっけ? 由依がこの間言ってた『白目むくほど美味しい』っていう、チーズナンが食べられるカレー屋さんも行きたい」


あたしの言葉を聞いて、由依が安心したように笑う。
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