腹黒エリートが甘くてズルいんです
「でも、本当、皆さん凄いですよね。菅生さんは……何の営業なんですか?」


何となく、場を繋ぐために当たり障りのない話題を口にしてみる。

営業の出光先輩に、菅生さん、そして春から営業希望のあたしで話すなら、きっとこの話題が最適だし。


「あ、俺? 俺は松永物産の営業と言っても、その中のエネルギー本部なのね、だから一般の会社相手と言うよりは……」


ん?
今なんて?


あたしの戸惑いの空気を察知したのか、菅生さんが話を中断して不思議そうにあたしを見る。


「……どうかした? 仕事の詳細を聞かれて話すと女の子にポカンとされることは多いけど、流石に早すぎでしょ。しかも、莉緒ちゃんはこれから同業になるってのに」


あ、いやそういうことではなく、社名の方に引っ掛かりましてね、聞き間違いですかね?……と思いながら、先輩を見れば案の定口パクで『ごめん』等と言っている。

と、言うことは聞き間違いではなかったわけで。

この期に及んで、何故に松永物産の人をあたしに、引き合わせる……?


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