腹黒エリートが甘くてズルいんです
確かにそれぞれ片手ずつ空いてはいるけれど、片手を繋いでもう片方でじゃんけんって……なんか変なの。
「ほれ」
言いながら、酒井くんが、あたしの空いている手を取る。
結局両手を繋いで向かい合う形のあたし達。
これ、どう考えてもこれからじゃんけんする人の体勢じゃないけど?
駅前の割と人通りのある広間で何をやっているんだ、という。
「あのさ、一つじゃなくてもよくない?」
酒井くんがふざけていない、優しい口調で言う。
「あ、両方の食べたいものをハシゴするってこと? でもさ、カレーとラーメンとかだったら結構ヘビーだね、それ」
あたしの言葉を聞いて、酒井くんが、呆れたように笑う。
「いや、そうじゃなくて……これからのこと」
これからのこと??
意味が分からなくて、酒井くんのきれいな顔を真正面から見つめる。
やっぱりあたしはこの顔を見て、『知っている』と思う。
「35歳で幸せになる、っていうやつ。道は一つじゃないだろ?」
酒井くんの言わんとすることが分からなくて、続きを待つ。
「ほれ」
言いながら、酒井くんが、あたしの空いている手を取る。
結局両手を繋いで向かい合う形のあたし達。
これ、どう考えてもこれからじゃんけんする人の体勢じゃないけど?
駅前の割と人通りのある広間で何をやっているんだ、という。
「あのさ、一つじゃなくてもよくない?」
酒井くんがふざけていない、優しい口調で言う。
「あ、両方の食べたいものをハシゴするってこと? でもさ、カレーとラーメンとかだったら結構ヘビーだね、それ」
あたしの言葉を聞いて、酒井くんが、呆れたように笑う。
「いや、そうじゃなくて……これからのこと」
これからのこと??
意味が分からなくて、酒井くんのきれいな顔を真正面から見つめる。
やっぱりあたしはこの顔を見て、『知っている』と思う。
「35歳で幸せになる、っていうやつ。道は一つじゃないだろ?」
酒井くんの言わんとすることが分からなくて、続きを待つ。