腹黒エリートが甘くてズルいんです



『あたしは、大好きなたった一人に好かれれば、それでいい』


ざわめきの中から、好きなやつの声を拾う特殊機能は誰にでも備わっているのだろうか。


塾の、講義の合間の休み時間に女同士でたむろしてポッキーをぽりぽりと食べながら仲田が言っていた。

あれは、いつのことだったか。


俺は、他校の女子に囲まれながらそれを背中で聞いていた。


正確には、男友達と席でしょうもない話をしていたら他校のやつらに囲まれたんだ。
追い払う理由もないし、何となく、聞かれるままに何だかんだと喋ったりしていたような気もする。


女子達に群がられることは日常茶飯事だから、いちいち真剣に受け止めず、適当にあしらうのも上手くなってくる。
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