腹黒エリートが甘くてズルいんです
仲田の言葉に、急にそんな自分が恥ずかしくなった。


好きでもないやつらを侍らせて鼻の下を伸ばしている、くだらない男だと思われただろうか。

みんなにいい顔をする軽い男だと思われただろうか。


ガタン、と椅子から立ち上がる。談笑する男友達や他校の女子達に、どうしたのと言われ、ちょっとトイレ、とかなんとか言って、そのまま歩き出した。


仲田達が喋っている横をわざわざ少しゆっくりと通って。

ほんの一瞬、目があった。


それだけで、何かを成し遂げた気になった。
言い訳がうまく伝わったような、そんな気持ち。


仲田はすぐにまた、友達と何やら恋愛談義に花を咲かせていた。

笑い声だって、仲田のものはいつもすぐに分かる。

そこに花が咲いたように感じるから……なんてことを人に言ったら気味悪がられるから、ていうか俺自身、うへぇって思うから、絶対に言わないけど。
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