腹黒エリートが甘くてズルいんです
「……大変だね、モテモテな人は」


呆れたような仲田の声。

ずっと前に聞こえてきたあの台詞がフラッシュバックする。



『あたしは、大好きなたった一人に好かれれば、それでいい』



悪かったな。
好きで追いかけ回されてるんじゃねーし。
俺が煽ってるわけじゃねーし。
どうせ俺は不特定多数に囲まれてますよ、鼻の下も伸びてますよきっと。


ぎゅっと強く拳を握る。


「……お、前だって、モテモテじゃん。何あんなとこでコクられてんだよ。つか、お前って好きな奴なんかいたんだなー、大丈夫なのかよ、結構なレベルでがさつなのに」


ははは、と笑いながら言う。


……言ってから、死ぬほど後悔した。
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