腹黒エリートが甘くてズルいんです
目の前で、仲田の顔色がみるみるうちに変わったから。


最初は赤くなったように見えたのに、それからすぐに青白くなったようだった。



「……聞いてたの? 悪趣味」


少し下を向いて仲田が言う。表情は読み取れなくなってしまった。


「いや、偶然。そっちこそ、なにあんなベタなとこでそんな……、」

うぐ、と。
思わず息を飲む。
下からじろり、と見上げてきた仲田の両目には、溢れんばかりの涙が溜まっていた。


もう顔色がどうなのかは分からなかった。


ただ、仲田が今にも泣きそうで。


俺はどうしたらいいか分からなくなった。

ただ、どうやら凄くまずいってことだけが分かって、背中をじっとりとした嫌な汗が伝った。
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