腹黒エリートが甘くてズルいんです
「……いないよ」
辛うじて聞こえるくらいの大きさで、仲田が言う。
「は?」
張った虚勢を解く方法なんて知らないから、俺は偉そうな態度のまま、聞き返す。
「好きな人なんて、いないよ」
それだけ言うと、こっちも見ずに駆け出していってしまった。
……さっきと話が違うじゃねーか。
追いかけようにも、さすがこの夏まで部活をやっていたテニス部のエース、影も形も見えなくなっていた。
と、言うか。俺だってサッカー部だったんだから本気を出せば追い付くことは分かっていた。
でも、俺の足は根っこが生えたように地面から動けなくなっていた。
*
それから、中学を卒業するまでの半年。
なんとなく気まずくて。
辛うじて聞こえるくらいの大きさで、仲田が言う。
「は?」
張った虚勢を解く方法なんて知らないから、俺は偉そうな態度のまま、聞き返す。
「好きな人なんて、いないよ」
それだけ言うと、こっちも見ずに駆け出していってしまった。
……さっきと話が違うじゃねーか。
追いかけようにも、さすがこの夏まで部活をやっていたテニス部のエース、影も形も見えなくなっていた。
と、言うか。俺だってサッカー部だったんだから本気を出せば追い付くことは分かっていた。
でも、俺の足は根っこが生えたように地面から動けなくなっていた。
*
それから、中学を卒業するまでの半年。
なんとなく気まずくて。