腹黒エリートが甘くてズルいんです
好きな子を泣かせてしまったこともショックだったけれど、何が地雷だったのか、わからなくて。


また、あんな風に顔色を変えさせてしまうかもしれない、泣かせてしまうかもしれない、という恐怖は、見た目ばかり派手でハートはチキンな俺にとって、本当にトラウマレベルで。



その後も何となく話をするところまでは回復したけど、どことなくぎこちないままの関係が卒業まで続いてしまった。


謝りたかったし、なんなら好きだと言いたかった。

だけど、それは、俺にとってはとんでもないミッションで。
例えて言うなら、ゲームで基本の装備と武器しか持たずに、村の運命を背負ってぎっとぎとのラスボスに一人で食って掛かるようなものだった。


所詮無理な話だった。


俺だって、あいつ一人に好かれれば、それでいいのに。

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