腹黒エリートが甘くてズルいんです
「何それ、法に触れないの? あ、ギリギリ触れないか……て言うか莉緒の住んでる地域ってヤンチャな人種が多いの?」


あたしに気を使ったのか、オブラートにくるんだような言い方をする由依。


「あ、別にヤンキーが集う地区とかじゃないよ。田舎だから、少し前に流行ったマイルドヤンキーとかいうのには当てはまる人たっくさんいたけど」


「それ、なんだっけ? あれ、車とか盛っちゃう系?」


「そーそー、ファーみたいのダッシュボードに敷き詰めて、健康サンダル履いて……」


そこから話はどんどん脱線して、『マイルドヤンキーの定義』みたいな話になって盛り上がるうちに、始業時間が迫り、あたしと由依はバタバタと更衣室をあとにした。


胸元に揺れるダサいワインレッドのふっくらしたリボンを、視界の角に感じながら、小走りで廊下をかけていく。


ここがあたしの生きていく場所で、やっぱりあの週末は異空間だったんだ、と思うと少し心が晴れた。
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